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食物アレルギー

 食物アレルギーは、特定の食品を飲食することで、食品に含まれる成分に対して免疫反応が生じ、アレルギー症状が発生することである。日本では食品衛生法施行規則などにより、特定原材料などの表示の義務付けや推奨が規定されています。
何故、多くの人が食べている食品に対して食物アレルギーが生じるのだろうか。多くの人達は食物成分に対して反応しないようになっており、これを免疫寛容と呼んでいます。すなわち、食物成分に対する免疫が起らないようにある種のTリンパ球が働いているからです。
アレルギー反応はI型~IV型の4つのタイプがあり、花粉症はI型アレルギーに属し、IgEというクラスの抗体が主役になっています。IgE抗体のレベルが人よりも高いのにアレルギー症状を示さない人達がいます。この人達のCD4+Foxp3+という表面抗原を持つTリンパ球の割合は、同じようにIgE抗体レベルが高くアレルギーになる人達より高いことが知られています(文献1)。Foxp3という遺伝子に変異があり、または発現し難い人達では、アレルギーになり易いことも分かっています。
ではCD4+Foxp3+ Tリンパ球は何者でしょうか。Tリンパ球(T細胞)は表面抗原の違いから、CD4陽性(+)とCD8陽性(+)に分けられます。CD4陽性T細胞は、産生するサイトカインにより、1型ヘルパーT細胞(Th1)、2型ヘルパーT細胞(Th2)、インターロイキン(IL)-17を作るTh17があります。CD4+Foxp3+ T細胞は、制御性T細胞(Treg)ともいわれており、Th1, Th2, Th17によって起る炎症反応や免疫反応を制御する作用があります。
 食物アレルギーが起る人と起らない人の違いが制御性T細胞の働きに違いがあるのではないかと考えられてきています。通常、食物として大量に摂取すると、食物中の成分、特にタンパク質に対して反応することがないよう制御性T細胞が働いていますが、何らかの要因によって、食物中のタンパク質に対して免疫が誘導され、制御性T細胞が働きにくい状態になると食物アレルギーが起ると考えられています。従って、腸管のパイエル板や脾臓中の制御性T細胞の割合を高める手法が求められています。抗原(アレルゲン)を頻回投与することでアレルギーになり難くする方法もあります。効果は確かめられていますが、治療には長期間掛ることと治療中にアレルギー反応(アナフィラキシー反応も含む)が起る可能性も残されており、機能性食品による制御性T細胞の誘導も重要な一つです。その候補としてある乳酸菌が挙げられています(文献2)。イリッロ教授(イタリア・バーリ大学医学部)との共同研究で、ヒト末梢血白血球を発酵ぶどう食品(FGF)と一緒に培養すると、CD4+Foxp3+制御 T細胞の割合が高まることを報告しています(文献3)。花粉症などのI型アレルギーにを改善するために、Th1/Th2バランスの修復することを考えていますが、これからは制御性T細胞の誘導も考慮する必要があります。FGFがTh1とTh2バランスの改善だけでなく、制御節性T細胞がFGFにより誘導できることが証明されれば、食物アレルギーに対する健康補助食品となることが予想さる。(文責:熊沢義雄)平成24年9月1日


  参考文献
1) Orihara K, Narita M, Tobe T, Akasawa A, Ohya Y, Matsumoto K, Saito H. Circulating Foxp3+CD4+ cell numbers in atopic patients and healthy control subjects. J Allergy Clin Immunol, 120: 960-962, 2007.
2) Enomoto M, Noguchi S, Hattori M, Sugiyama H, Suzuki Y, Hanaoka A, Okada S, Yoshida T. Oral administration of Lactobacillus plantarum NRIC0380 suppresses IgE production and induces CD4+CD25+Foxp3+ cells in vivo. Biosci Biotechnol Biochem, 73: 457-460, 2009.
3) Marzulli G, Magrone T, Kawaguchi K, Kumazawa Y, Jirillo E. Fermented grape marc (FGM): immunomodulating properties and its potential exploitation in the treatment of neurodegenerative diseases. Curr Pharm Des, 18: 43-50, 2012.


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